【特別展】琳派 ―俵屋宗達から田中一光へ― 山種美術館

山種美術館で開催中の【特別展】琳派 ―俵屋宗達から田中一光へ― を観てきました。
※写真は許可をいただいて撮影しています。

今年は琳派の絵師・酒井抱一の没後190年、鈴木其一の没後160年にあたることから、俵屋宗達・尾形光琳・酒井抱一から近代・現代の日本画家やデザイナーに受け継がれた琳派の伝統をたどる特別展が開催されています。

 

 

俵屋宗達(絵)・本阿弥光悦(書)
《鹿下絵新古今集和歌巻断簡》
17世紀(江戸時代)
紙本・金銀泥絵・墨書 山種美術館

 

 

 

 

俵屋宗達(絵)・本阿弥光悦(書)
《四季草花下絵和歌短冊帖》
17世紀(江戸時代)
紙本・金銀泥絵・彩色・墨書
山種美術館

 

宗達と光悦のコラボをみていると、琳派の創成期にどんな会話をしながら作品が作られたのだろうと想像します。また、装飾された絵の上に書かれた和歌を読むときに、和歌のイメージがひろがっていくことを思いました。また、酒井抱一の《秋草図》をみていると、真ん丸に描かれた青い花の芯がもう一つの月のようになっていて、絵の中に2つの月がある!と発見をしてみたり。繊細な描写とデフォルメの同居に不思議と引き込まれていきます。

 

 

 

 

酒井抱一
《秋草図》
19世紀(江戸時代)
絹本・彩色
山種美術館

 


伝 俵屋宗達
《槙楓図》
17世紀(江戸時代)
紙本金地・彩色
山種美術館

※公益財団法人住友財団の助成による修復後初公開

 

 

こうした琳派の流れは現代まで続きます。田中一光の武満徹のポスター《Concert / Projection de films – Toru Takemitsu: Vers la mer sonorites》(1997年 紙・オフセット・ポスター 東京国立近代美術館)は圧巻でした。私が異国の人で、当時パリにいて、あのポスターを見たならば、日本という国も、武満のことも何も知らないけれどもコンサートに足を運んでみようと思ったのではないでしょうか。田中一光といえば西武百貨店の包装紙や無印良品のコンセプトの発案者の一人として知られているグラフィックデザイナーです。描写からデザインへの転換によりメッセージを増大させていたったのが琳派なのかもしれない。そんなことを思いました。

スマートフォンで撮影した画像がInstagram(インスタグラム)で行き来するようなデジタル世界のコミュニケーションの変節も、琳派がたどってきた道程の中にあるとしたら、琳派の未来の姿もまた楽しみです。

 

【展覧会情報】
■山種美術館公式ページ
http://www.yamatane-museum.jp/

【特別展】琳派 ―俵屋宗達から田中一光へ―
会期  :  2018年5月12日(土)~7月8日(日)
※会期中、一部展示替えあり(前期: 5/12~6/3、後期: 6/5~7/8)
会場  :  山種美術館
主催  :  山種美術館、日本経済新聞社
開館時間:  午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:   月曜日
入館料:   一般1200円(1000円)・大高生900円(800円)・中学生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金および前売料金。
※障がい者手帳、被爆者健康手帳をご提示の方、およびその介助者(1名)は無料。