数寄屋大工棟梁・中村義明さんの言葉

茶室の本を読んでいたら、数寄屋建築を手がける中村外二工務店代表の中村義明さんのことばにひかれました。もちろん、茶室そのものこととか、建築のこととか、様々学ぶことはあるのですが、ある視座から物事をみていると、それはすべてに通じるような、そしてその媒介に茶室空間があるような、そんな心持にさせてくれる一冊でもありました。

茶室を感じる 中村義明・前田圭介

仕事ではね、重い荷物をいっぱい持たされるわけです。辛くても、辛くてもまずは持つんですよ。そのときは、踏ん張らないといけない。そのうちに、力がついて、軽く感じる。すぐに楽になるから少しの辛抱なんです。そして、強くなった分だけ、仲間の荷物も持ってやる。でもね、気持ちが苦しくなったときはいつでも手離していいんです。気持ちでは、いつでも離していいんや、と思っておくことが大切ですよ。

結局、この世の中に、値札なんてないのです。あったとすれば、それは時代の変化による価値基準によって簡単に変わってしまう不確かなものなんですね。今はその変化が加速していますからなおさらです。では、なにが重要なのか。それが、つまりは「感じる」ことなのです。「感じる」ことで、自分自身の価値観を知り、自分の好みを見出してほしいのです。

日本人はもっと自分たちの培ってきた文化に自信をもっていいと思うのです。日本の哲学をもって、新しいことに挑戦すれば、それは世界で通用する。文化は鎧になってくれるのです。