[特別展]皇室ゆかりの美術ー宮殿を彩った日本画家ー/山種美術館

山種美術館で開催中の [特別展]皇室ゆかりの美術-宮殿を彩った日本画家- を鑑賞してきました。
(写真は美術館より許可をいただき撮影しています。)

今年は、1968(昭和43)年の皇居宮殿完成から50年、また来年には新天皇の御即位があるなど節目の年です。これを記念して、山種美術館では、皇居宮殿にちなんだ作品や皇室ゆかりの美術を紹介する特別展が開催されています。

右手前)野口小蘋《箱根真景図》1907(明治40)年 紙本・彩色 山種美術館蔵
※野口小蘋は1904(明治37)年に女性初の帝室技芸員となっている
左奥)下村観山《老松白藤》1921年(大正10)年 紙本金地・彩色 山種美術館蔵

 

写真ではご紹介できないのですが、後陽成天皇の宸筆、【重要美術品】《和歌巻》(17世紀(江戸時代)、紙本・墨書、山種美術館蔵)は、下の和歌の中の、桜と時鳥(ほとどきす)の部分が絵になっていて驚きました。小さく繊細に描かれた桜と時鳥からは、教養と風雅を感じます。

またやみぬ かたののみのの 桜がり 花の雪ちる 春の曙 (藤原俊成)
けり 信だの杜の 時鳥 たえぬ雫を 袖に残して (藤原保季)

現代でいえば、LINEやショートメールで利用する絵文字でしょうか。少しはこうした感性が現代の我々にも受け継がれているのかもしれません。

 

横山大観《富士山》1933(昭和8)年 絹本・彩色 山種美術館蔵

 

天皇の手による宸筆、また宮家に伝わる絵巻物、日本画家たちが宮殿のために手掛けた作品の下絵や習作など、展示の品々からは、その人の気持ちが伝わってくるようです。画家にとっては、強い緊張感もあったのではないか、そんなことを想像しました。

左)山口蓬春《新宮殿杉戸楓杉板習作》1968(昭和43)年 杉板・彩色 山種美術館蔵
©公益財団法人JR東海生涯学習財団
中)山口蓬春《新宮殿杉戸楓4分の1下絵》1967(昭和42)年 紙本・彩色 山種美術館蔵
©公益財団法人JR東海生涯学習財団
右)橋本明治《朝陽桜》1970(昭和45)年 紙本・彩色 山種美術館蔵 山種美術館蔵

 

この展覧会で、宮殿に多くの日本画が用いられていることを知り、宮内庁のホームページをみてみると、宮殿に飾られている作品についての紹介がありました。東山魁夷、前田青頓、山口蓬春、橋本明治などの作家の作品は、今回の特別展でもみることができます。幾重にもたのしめる特別展と思います。ぜひ、ご覧ください。

宮内庁ホームページ「宮殿の写真」
http://www.kunaicho.go.jp/about/shisetsu/kokyo/kyuden-ph.html

 

■特別展概要
会  期:2018年11月17日(土)~2019年1月20日(日)
※会期中、一部展示替えあり(前期:11/17-12/16、後期:12/18-1/20)
会  場:山種美術館
主  催:山種美術館、日本経済新聞社
開館時間:午前10時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日 :月曜日[但し、12/24(月) 1/14(月)は開館、12/25(火) 1/15(火)は休館、12/29(土)~1/2(水)は年末年始休館]
入館料 :一般1200円(1000円)・大高生900円(800円)・中学生以下無料

詳細は美術館のホームページへ
http://www.yamatane-museum.jp/

※トップページ画像  下村観山 《老松白藤》 1921(大正10)年 紙本金地・彩色 山種美術館蔵