マダム菊池のコレクション

虎ノ門にある智美術館で開催中の「珠玉の現代陶芸 マダム菊池のコレクション」をみてきました。(写真は美術館の許可をいただいて撮影しています)

智美術館は、陶芸専門の私設美術館として知られています。そのはじまりは、明治〜昭和にかけて炭鉱などの事業で活躍した実業家菊池寛実の三女、菊池智(1923〜2016)が蒐集した陶芸のコレクションがはじまりです。彼女が陶芸に興味をもったのは、戦中に、父親の炭鉱があった茨城県高萩市に疎開したときに、徴用で来ていた瀬戸の陶工たちが登窯で作品を作るのを見て感銘を受けことがきっかけだったそうです。そして、戦後、1950年代後半から陶磁器の収集を始めます。

1974年には、若い陶芸作家を育てるため、発表の場としてホテルニューオータニ内に現代陶芸ギャラリー『寛土里(かんどり)』をオープン。このギャラリーでの作家との交流が、海外での展覧会の開催や美術館の設立につながっていきます。

美術館に足を運ぶと、作品の鑑賞とは違うところの関心、なぜこの場所にとか、この優れたコレクションをどうやって実現されたのか、設立者はどんな想いでなど、様々な関心がわいてきます。そしてそのストーリーを知ると、そのコレクションに収められた作品一つひとつに深い親しみを得る事ができます。

今回の展覧会では、美術館の設立者である菊池智が集めたコレクションが紹介されています。ですから、一つひとつの作品を前にしても、作家とコレクターとがどんな語らいをしたのか、どんな想いでこの作品を手にしたのか、そうしたことがとても気になりました作品に添えられた解説や図録を読むとそこに手がかりもあって、何か探偵をしているような気分になります。

そして、このコレクションをたどると、日本の陶芸の歴史がみえてきて、これまでは知らなかった陶芸の大家たちの名前を知る事ができました。これから陶芸を楽しむ上で大きな手がかりを得たように思います。こればかりは、もうなんとも書きようがないのですが、陶器の世界を味わいたいならおすすめの展覧会です。


富本憲吉「白磁八角共蓋飾壷」1932年

会期: 2017年6月10日(土)~ 9月3日(日)
休館日: 月曜日(ただし7月17日は開館)、7月18日(火)
開館時間: 11:00~18:00  ※入館は17:30までになります
観覧料: 一般1000円、大学生800円、小・中・高生500円
※未就学児は無料
※障害者手帳ご提示の方(介護者の必要な方は1名迄)は通常観覧料の半額となります。
※リピート割引:会期中2回目以降ご鑑賞の方は半券のご提示で300円割引いたします。(他の割引と併用はできません。)
*ぐるっとパス参加館

http://www.musee-tomo.or.jp/index.html