【企画展】上村松園 ー美人画の精華ー

山種美術館で開催中の上村松園 ー美人画の精華ー 展に行ってきました。
※写真は美術館より許可をいただき撮影しています。

上村松園「蛍」(部分)1913(大正2)年 絹本・彩色 山種美術館

山種美術館には上村松園の作品が18点所蔵されていて、日本屈指のコレクションを誇るそうです。この企画展では、この松園のコレクションを中心に美人画に焦点を当てています。

松園のコレクションを観る中で、これまでに気づかなかった松園の魅力に出会いました。それは、松園の眼と唇の描き方です。これまでは、松園の作品は、どれも同じように綺麗な女性を描いているくらいに思っていたのですが、「蛍」に描かれた眼と唇が、これまで観てきた作品に比べて、とても淡く瑞々しく描かれているように感じました。その視点から、他の作品を観ていくと、眼やまぶた、まつげの描き方に微妙な違いをみつけました。何度も何度も、それぞれの絵の前で眼をジーッと見つめてみると、初々しさや艶やかさ、またはかなさなど、それぞの女性の情感をこの眼が語っているように思ったのです。

上村松園「蛍」(部分)1913(大正2)年 絹本・彩色 山種美術館


上村松園「夕照」(部分)20世紀(大正時代)絹本・彩色 山種美術館

上村松園「新蛍」(部分)1929(昭和4)年 絹本・彩色 山種美術館

上村松園「夕べ」(部分)1935(昭10)年 絹本・彩色 山種美術館

上村松園「詠哥」(部分)1942(昭和17年) 絹本・彩色 山種美術館


上村松園「庭の雪」(部分)1948(昭和23)年 絹本・彩色 山種美術館

上村松園「つれづれ」(部分)1941(昭和16)年 絹本・彩色 山種美術館

眼の描き方を、メイクに置き換えてみると、こんな時はこんな風にとファッション誌からアドバイスを得ることができます。少し下世話でありますが、世の男性が、メイクアップの違いに惑わされることだってあります。それは「美人画」というくらいですから共通点があっても不自然ではないのですが、松園の気持ちは、絹の上に描く女性たちにお化粧を施しているような心持ちだったのではないかと思い巡らしました。

まとまった数の松園コレクションのおかげで、新たな気づきを得ることができました。気づきというには恥ずかしいのですが、正解も不正解もない中で、自分の視点でその作家を捉えることはとても楽しいことだと思います。

松園の人気はとてもすごくて、美術館にはたくさんの方が訪れていました。ぜひ、この機会に自分だけの松園をご覧ください。

【企画展】上村松園 ー美人画の精華ー
公式ページ:http://www.yamatane-museum.jp/exh/2017/uemurashoen.html

会期: 2017年8月29日(火)~10月22日(日)  *会期中、一部展示替えあり
会場: 山種美術館
主催: 山種美術館、日本経済新聞社
開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日: 月曜日(但し、9/18(月)、10/9(月)は開館、9/19(火)、10/10(火)は休館)

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