「川瀬忍作陶50年の間」展 菊池寛実記念智美術館

菊池寛実記念智美術館で開催されている陶芸家・川瀬忍の作陶50年を記念する展覧会、「川瀬忍 作陶50年の間(ま)」展に行っていってきました。
※写真は美術館の許可をいただいて撮影しています。

青磁作家として活躍する陶芸家、川瀬忍は1950年に神奈川県大磯町の陶芸の家に生まれ、18歳の時に作陶の道に入ります。

この展覧会で私は3つのことを感じました。
まず、祖父の初代川瀬竹春、父・二代目竹春から作家へと受け継がれていった作陶の精神。会場では作家の言葉が紹介されているのですが、そこで語られる子ども時代の情景がとても豊かで、職工から芸術へと昇華させていった家の精神を守り続けられていると感じました。作家の言葉は川瀬忍さんのホームページでも読むことができます。
http://www.shinobu-kawase.com/

また、青磁に魅せられた作家の情熱。今回の展示では、中国の官窯の青磁と作家の作品を比べてみることができるのですが、ただ姿を真似るのではなく、今しか作れない青磁の姿をみることができて、幸せを感じます。

手前の青磁花入とその奥にみえる南宋時代の官窯の青磁瓶

 

そして、薬師寺東塔基壇土と出会い、土から神仏の姿を掘り出していくような創作の姿に新鮮な意気込みを感じました。

壁にかけられた薬師寺東塔基壇土でつくられた「焼締散華」

不思議なもので、中国のも薬師寺東塔の基壇土も古いものですが、それらと向き合うには創意工夫が必要で古臭いといったものは感じません。一方で、それらからは耳を澄まして学ばなければ前に進むこともできない。現代においては難しいことかもしれない作業が、作陶の営みの中に凝縮されているように思い、そうした工程を経て生み出された作品に愛着を感じました。

■展覧会概要
会 期:2018年11月23日(金・祝)~ 2019年3月24日(日)
休館日:月曜日(ただし12/24、1/14、2/11は開館)12/25、1/15、2/12
※年末年始休館(2018/12/28~2019/1/1)
開館時間:11:00~18:00  ※入館は17:30まで
観覧料:一般1000円、大学生800円、小・中・高生500円

■関連イベント
●無料イベント 
講演会:2019年1月19日(土)15時
「川瀬忍さんと国宝東塔・基壇土の出会い 千三百年の命を未来へ」
講師:奈良・薬師寺 加藤朝胤執事長(対談:川瀬忍)
聴講無料(聴講希望者には当日11時より入場一名につき一枚、座席整理券を配布。)

その他、ナイトミュージアムやギャラリートークなど開催。詳細は美術館のホームページをご覧ください。

智美術館ホームページ
http://www.musee-tomo.or.jp/index.html