東京藝大×〈みずほ〉「アートとジェンダー」共同研究プロジェクトから生まれた展覧会 「夜明けの荒野を走ってー池口史子×碓井ゆい展」(Chasing the Horizon at Daybreak)

恩師の一人が群馬の人で、山口薫と近しい人でした。昔の話を聞かせてくれる時に、画家の名前が出て興味を持ち、それから山口薫や関連作家の作品を前にすると、恩師のことを思い出しつつ観ています。(私の中では、その恩師はまだどこかにいることにしています 笑)

そんなことがあり、山口薫に師事された洋画家の池口史子氏さんの作品が、東京藝大×〈みずほ〉の共同研究プロジェクトの一環で行われる展覧会で展示されており、堺屋太一記念 東京藝術大学 美術愛住館に行ってきました。

池口さんの1990年代の作品をみていると、一人でぼーっとみていたら、何かその世界に吸い込まれていくような、そんな印象を持ちました。一方で、現代美術家の・碓井ゆいさんの作品は、池口さんの作品をインスパイアを受けた架空の女性の足跡を表現していきます。作品のわきに作家の手書きのテキストがあるのですが、妻が日記をつけているとして、それを読んでしまった時の罪悪感のような感覚がおきて、なんとなく目を泳がせて作品のほうに視線を移す、そんな鑑賞になってしまった自分がいました。
池口さんの自宅兼アトリエでもあった建物、後に東京藝大に寄贈され美術館となっている建物の中で、生活のたたずまいを感じながら、架空の女性の生き様をたどっていくというキュレーションの妙なのでしょうか、展示されていないけれども、何かもう一つの作品がそこにあるような心持ちになります。1つひとつの作品の芸術性はもとより、その存在の在り方や関係性の中から気づくことや気づかされること、構成の中に探検の楽しみのようなものが詰まっています。

場所は、地下鉄の四谷三丁目から徒歩3分。
交通も便利な場所で開催されていますので、ぜひご覧ください。

アーティストトークは、7月13日(日)14時~15時
また、ガイドツアーが、7月26日(土)と27日(日)にもあります。それぞれ予約制。

展覧会名:
東京藝大×〈みずほ〉「アートとジェンダー」共同研究プロジェクト
「夜明けの荒野を走ってー池口史子×碓井ゆい展」(Chasing the Horizon at Daybreak)
会期:2025年7月4日(金)〜8月3日(日)11:00-17:00 (最終入場16:30)
開館日:金、土、日 ただし7月21日(月・祝)は開館
入場無料
開催場所:堺屋太一記念 東京藝術大学 美術愛住館(東京都新宿区愛住町2-5)
参加作家:池口史子、碓井ゆい
主催:東京藝術大学キュレーション教育研究センター
企画:難波祐子(東京藝術大学キュレーション教育研究センター特任准教授)

詳細
https://ccs.geidai.ac.jp/2025/06/05/aizumikan/

ちなみに、碓井さんが、昨年、森美術館で開催されていたルイーズ・ブルジョワ展の関連ワークショップの動画がYoutubeにありました。こちらの動画をみると、作品から紡ぐ自己であったり、その表現といったものの実際の制作の様子をみることができて参考になります。

森美術館 まちと美術館のプログラム「碓井ゆい:わたしを形作るもの」
Community Engagement Program
https://youtu.be/a5zNZ-OuJkM?si=hPITRziz6DCUryXz