原田マハ著『たゆたえども沈まず』を読みました。

原田マハ著『たうたえども沈まず』を読んだ。古い本だけども、表紙になっているゴッホの絵を見てあることを思い出したからだ。昨年、都美でやっていたゴッホ展のチラシをもって見舞いのため病院に向かった。それから、転院が続くたびに降りる駅は変わるのだが、時折、電車にのっては見舞いに通うことをしている。

ゴッホの絵でもみたら意識が戻るかもしれない。狂気の中で描いた色彩が、意識の薄い人間の眼に届いて、脳内の刺激にでもならないだろうか、そんなことを思いつつ、しっかりとした印刷の展覧会のチラシは病室に持ち運ぶにはちょうどよかったのだ。今思えば、そんな名画が病気に効くといった考えは、どこか思い上がりで、地に足のついた治療や看護に支えられて命をつなぐことができているのが現実だ。そこには感謝しかない。厳しい現実からアートが生まれたとしても、それが多くの人を感化するのに、受容するにはある程度の健康が必要でもあるというのが真実のように思う。

読んでみると、日本人画商をゴッホ兄弟の交流が描かれていて、もしこれが史実ならどれほど素晴らしいだろうかと思わずにはいられなかった。彼らの活動を思い描きながらパリの街を散歩できたらいいななどと思いをめぐらしながら。

病室の主ともいつかはパリにでも一緒に行ってみたい。その時はこの小説の話題も語られるであろう。