花*Flower*華ー琳派から現代へー山種美術館

4月22日(土)から山種美術館で始まった「花*Flower*華 ー琳派から現代へー」の特別内覧会に行ってきました。掲載している写真は、美術館より許可をいただき撮影しています。

さて、今回の企画展ですが、ポスターに使われている作品は誰が描いたものなのか、そこにとても興味を持ちました。現代の作家だろうか・・・と思ったくらいです。実は、これを描いたのは、田能村 竹田の養子で、田能村 直入(たのむら ちょくにゅう、1814年〜1907年)という、幕末から明治時代にかけて活躍した日本画家でした。


田能村 直入 「百花」1869(明治2)年 絹本・彩色 山種美術館

 

今回の企画展では、田能村 直入もそうですが、筆者があまりよく知らない画家の画業に触れて驚くことが多くあったように思います。酒井抱一の養子である、酒井鶯浦の「白藤、紅白蓮、夕もみぢ図」の三対の作品であったり、渡辺省亭(わたなべ せいてい)の「桜に雀」。省亭を「しょうてい」と呼んでしまったくらい不勉強でしたが、ふと作品をみて、この雀、この桜、なんとも生きているし美しい、これを描いたのは誰だろう・・・とそんなふうに作家と出会えた事は嬉しかったです。牡丹の絵を集めた小展示室にも、省亭の作品が展示されていました。こちらも美しかったです。

酒井鶯浦「白藤、紅白蓮、夕もみぢ図」19世紀 江戸時代 絹本・彩色 山種美術館

渡辺省亭「牡丹に蝶図」1893(明治26)年 個人蔵


渡辺省亭「桜に雀」 20世紀(明治ー大正時代) 紙本・彩色 山種美術館

会場には奥村土牛の「醍醐」などおなじみの作品も多数展示されていました。また、作者不群ではありますが重要美術品に指定されている「竹垣紅白梅椿図」の存在感も相変わらずです。花・華をテーマに揃えられた作品群を拝見しながら、時代に埋もれた画家の作品があったとしても、それをブームで追い求め、値動きを気にするといった楽しみ方ではなくて、良質な日本画を広く紹介してくれる美術館で沢山の作品を鑑賞する中で審美眼が養われて、好きな作品と出会い、楽しむことができる喜びを感じつつ、観る人を育ててくれる美術館の大切さを思いました。

作者不群 「竹垣紅白梅椿図」【重要美術品】 17世紀(江戸時代) 紙本金地・彩色 山種美術館

山種美術館の企画展ではおなじみの、青山の和菓子屋さん、菊家さんの和菓子。なかなか、和菓子を食べる機会がないのですが、ここにくるとつい。企画展にち なんだ創作がなされるので、毎回毎回、職人さんにとっても挑戦と思いますが、いつか職人さんの苦労話も聞いてみたいです。

 

■展覧会情報

[企画展] 「花*Flower*華 ー琳派から現代へー」

公式サイト
http://www.yamatane-museum.jp/

会期: 2017年4月22日(土) ~ 6月18日(日)
会場: 山種美術館
主催: 山種美術館、朝日新聞社
開館時間: 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日: 月曜日
入館料: 一般1000円(800円)・大高生800円(700円)・中学生以下無料

 


鈴木其一「四季花鳥図」右隻(部分)19世紀(江戸時代) 紙本金地・彩色 山種美術館