菊池寛実記念智美術館で6月18日から始まった「篠田桃虹 夢の浮橋」展に行ってきました。(写真は許可を得て、作品、展示写真を掲載しています)
篠田桃虹は不思議な人と感じてきました。2021年に107歳でお亡くなりになりましたが、アトリエの様子を映像でみたり、作品を1つ2つとみても、何か理解できなくて、落ち着かない。普段、書というものに馴染みがなかったり、まとまった数の作品を観るような機会がなかったからかなと思い、作家のことを知りたい!そんな心持ちで美術館に行きました。
作品を前に、書かれている文字からイメージをふくらませたらいいのか、造形としてみたらいいのか迷いました。文字の形がくずれて、線がぴょんぴょん跳ねているようにみえたり、ジャコメッティのデッサンのように文字が本質的な姿に変していくようにも見える。一つ考えたのは、象形文字って言われるように、絵から文字がうまれたのだから、その逆に文字が絵となっていくのも自然なことで、こだわる必要はないと思えてきました。
また、ある作品を遠くからみたときに、何か岩肌に人の顔が浮かび上がってくるように見えました。昔、ある神社に行ったときに、そこに大きな岩があって、その岩肌が苔の具合で人の顔にみえたことがあって、それを神様の顔と感じだ時のことを思い出しました。
その作品には、「A legend 邦訳:神話」というタイトルがつけられていて、偶然ではあるのですが、作品を観る人の記憶を材料に作品から意味を汲み取っていくこともあるのではないかと思いました。
作家が作品を創作するときに、造形やイメージを事前に練っているのか、あるいは偶発的に形が生み出されているのか、どちらだろうと疑問を持ちました。
何かを絵にすること自体は、誰にでも許されているはずなのに、多くの人がそれを作品にすることはできない。桃紅が生み出す作品からは、観る人に、こうしたらイメージを自由に形にできるじゃないと語りかけているように感じました。
文字という入口があったり、過去の体験があったりと、意味を増幅するような縦軸の深まりと、文字を書く、線をひいていくという身体的活動の横軸の広がりの2つが、表現をしていく上ではとても大事なもののように思えました。
篠田桃紅 夢の浮橋
https://www.musee-tomo.or.jp/
■展覧会概要
会 期 : 2022年6月18日(土)~ 8月28日(日)
休館日 : 月曜日(ただし7月18日は開館)、7月19日(火)
開館時間: 11:00~18:00 ※入館は17:30までになります
観覧料 : 一般1100円、大学生800円、小・中・高生500円
主 催 : 公益財団法人 菊池美術財団、日本経済新聞社
監 修 : ザ・トールマン コレクション
篠田桃紅を知るお役立ち動画
篠田桃紅のことを知りたくて動画を探してみました。
岐阜市立図書館の公開講座の動画です。
みんなの図書館おとなの夜学【第27夜】「人生は一本の線」